人に必要なのは
「管理」ではなく「規律」
小宮コンサルタンツ代表
経営者の中には、「管理」を徹底しなければならないと考える人もいます。
製品の品質の管理は当然としても、なぜ、人を管理しなければならないのでしょうか?
それは、社内で「規律が守られていない」からです。
「リモートワークと称して実は遊んでいるのではないか」「営業に出ておきながら実はさぼっているのではないか」――。
そう考えだすと社員を際限なく疑うようになってしまい、社員をがんじがらめに管理したくなり、「何時から何時まではどこで何をしていたのか」「どの取引先を訪問してどんな商談をしたのか」といったことを細かく報告させがちです。
そうすることで経営者は安心を得られるかもしれませんが、社員は管理されることに慣れてしまい、やがて自分で判断することを放棄し、言われたことしかやらなくなります。「管理慣れ」が常態化すると、言われたことすら進んで行わなくなってしまいます。
人に必要なのは「管理」ではなく「規律」なのです。規律を守らせ、細かい部分は裁量に任せる「規律の中の自由」の下で働く社員は、判断力や能力が養われ、最大の力を発揮します。
「規律の中の自由」を社員に浸透させるための根本は、やはり「採用」です。採用時に「規律を守れる人なのかどうか」をさまざまな角度から見極めないと、採用後に不祥事を起こす可能性が高くなります。採用面接の場でだらしない印象を受ける人は、失礼ながら普段の生活はもっとだらしないはずなので、どんなに入社試験の成績がよくても見送るべきでしょう。
中途採用の場合は、レファレンスチェック、つまり、前職の人事担当者や、中堅・中小企業であれば経営者に連絡をして、評判を聞くといった方法もあります。個人情報保護を理由に断る会社も当然ありますが、それでも、その人物がいい人材であれば「いい人ですよ」くらいのことは教えてくれるでしょう。フェイスブックやインスタグラムといったSNSに公開している内容も判断材料になります。
新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにリモートワークが普及しました。そのような中、「社員の行動を把握しづらくなった」ことで、「会社の目の届かないところでコンプライアンス(法令順守)違反が起こらないか心配だ」という経営者の声も聞こえてきます。
そもそも法律とは何でしょうか?