“情報弱者”を“釣る”ための見せかけ

 それは、客が“情報弱者”だからだ。投信販売手数料を3万円から2万1000円に値引きするよりも、金利4%の定期預金を提示した方が、多くの客が乗ってくるからである。

 要するに、銀行としては、税務署にわざわざもうけさせるような損な取引であることを知りながらも、その方が客が集まるならということで、高金利の定期預金を提供しているのだ。

 そうとわかれば、ますます高金利定期預金が魅力的でないと感じることだろう。ただ、繰り返すが、「だから投資信託は買うな」とは言わないし、どうせ買うならキャンペーン期間中に買った方がキャンペーン期間外に買うより得であることも確かだ。

 あとは、そもそも上記のように多額の投資信託を一度に買うことのリスクについて、慎重に検討すべき、ということになろう。

 こうした問題の背景として、銀行が投信などの販売に注力していることを認識しておきたい。長引くゼロ成長とゼロ金利が、銀行の利ざや(貸出金利と預金金利の差)を圧迫しているため、利ざや以外の販売手数料等で稼ぐ必要性に迫られているのである。

 ゼロ成長は、一般企業にとっては「売り上げと利益が前年並み」であるが、一般企業は利益を返済の原資とするため、銀行自身のビジネスは縮んでいく。ゼロ金利も、預金部門のコストがそのまま赤字要因となりかねないので、銀行にとっては大いに逆風だ。これが長期にわたって続いているのであるから、銀行の苦悩の大きさが推測されよう。

 加えて、インターネット銀行やキャッシュレス決済との競合も起きている。ますます銀行は手数料稼ぎに邁進せざるを得ないと思われる。銀行がゼロ成長とゼロ金利で苦悩している点については、拙稿『「銀行口座に手数料」がもはや避けられない銀行の苦しい事情』を併せてご参照いただければ幸いである。

 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織等々とは関係がない。