米長期金利が急上昇
年後半にはテーパリングの議論も
米国の長期金利が上昇している。昨年夏以降、緩やかに上昇してきた10年国債利回りは、今年に入って上昇ペースを早めており、3月下旬には一時1.7%台後半に達した。
バイデン政権の大型経済対策や新型コロナウイルスのワクチン接種の進展もあって、力強い景気回復が確認されれば、今年半ば以降、米連邦準備制度理事会(FRB)は資産買い入れの段階的縮小(テーパリング)に向けて議論を本格化させる公算が大きい。
思い出されるのは、バーナンキ議長時代の2013年、買い入れ縮小開始の思惑から金融市場が混乱した「テーパータントラム」だ。
その可能性はあるのか。
大規模経済対策などで
期待インフレ率が上昇
米国の経済学者フィッシャー氏が提唱した方程式に基づくと、長期金利(名目金利)は、期待インフレ率と実質金利に分解できる。
実務上、実質金利は物価連動債の利回り、期待インフレ率は国債と物価連動債との利回り差として算出されるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を用いることが多い。