長引くコロナ渦中。引きこもりがちな毎日に、ストレスを感じている人も多いのではないだろうか。
寝ても疲れが取れない、ちょっとしたことですぐ不安になる、自分だけが取り残されているように感じる……という人にぜひ読んでほしいのが、本日2021年4月14日に刊行する
『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)だ。
原著は韓国で2020年7月に発売。発売後5ヵ月で6万部を突破し、韓国の大手書店でもベストセラーランキング入り。
「つらいときにひとりで読みたい」「低くなった自尊心を満たしたいときはこの本が役立つ」「誰が読んでも共感できる内容」と絶賛の声が数多く寄せられている。
著者のクルベウ氏は事業に失敗し、自分を励ますためにSNSに投稿していた癒しの言葉が多くの共感を集め、2015年に作家デビュー。処女作『心配しないで』はBTSのファン感謝イベントでJ-HOPEから「メンバーのJINにおすすめしたい本」として紹介され、ファンの間で
「BTSおすすめの作家」として話題に。クルベウ氏は韓国では著書累計55万部を突破するなど、「韓国のSNS作家として一番人気」との呼び声も高い。
心理カウンセラー、作家として活躍する大嶋信頼さんは、日本語版『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』「生きづらい人たちが自由に楽しく生きられるようになる本」と絶賛。
大嶋信頼さんに
本書の解説とともに、「繊細な人ほど、自分の気持ちより他人を優先してしまう理由」を聞いた。

Photo: Adobe Stock

「自分は気を使っているのに、相手は気を使ってくれない」

大嶋信頼(Oshima Nobuyori)
心理カウンセラー、作家、株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。
アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。「どんな人でも心の傷があり、その人が認識していない心の傷でも治療することで、もっと自由に生きることができるのではないか?」と心的外傷治療に新たな可能性を感じ、インサイト・カウンセリングを立ち上げる。カウンセリング歴26年、臨床経験のべ9万件以上。
著書にシリーズ累計30万部を超えるベストセラーとなった『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)、『催眠ガール』(清流出版)、『無意識さん、催眠を教えて』(光文社)、『「悩みすぎる」人のトリセツ』(秀和システム)、『「ほんのひと言」に傷つかなくなる本』(大和書房)など多数。

周りの人の気分を損ねないよう、イヤなのに「イヤ」と言えず、どんどん疲れて弱っていってしまう……。最近、私のカウンセリングルームに「周りの人の気持ちに敏感になりすぎてつらい」と訴えるクライアントの方が増えています。

「自分は気を使っているのに、相手はちっとも気を使ってくれない」とグチをこぼすと、周りの人は「じゃあ、不親切な人の頼みは断ればいいのでは?」と言います。

しかし、自分よりも他人を優先してしまうタイプの人は、相手が誰であろうと、何か頼まれたとき、とっさに「イヤです」という顔ができず、悲しい笑顔で相手の要望に応えてしまうのです。

コンビニの店員さんに笑顔でお礼を言ったのに、無視される。レストランに疲れた顔のウエイトレスさんがいると、「何か優しい言葉をかけてあげなきゃ」と考えてしまって、食事の味がわからなくなる。料理を習いに行ったのに、参加者に気を使って、ちっとも料理の手順が頭に入ってこない。

こんな感じで、何をやっても他人を気にして楽しめないのです。そのうちに自分が好きなことすらわからなくなり、「好きなものは何?」と聞かれても、「相手はどんな回答を期待しているのか」と考えてしまって、すっかり自分の本音を見失ってしまいます。

乳児期の親とのスキンシップが脳に影響

「自分よりも他人の気持ちばかりを優先してしまう」という心のクセは、「赤ちゃんのときの親との関係」が影響しています。

人間の赤ちゃんは、生まれたばかりの頃は、動物とちがって自分で立てません。

このような「未熟な状態」で生まれてくるのは、「お母さんやお父さんに守られる」体験が必要だからです。「未熟な状態でお母さんやお父さんに守られる」という体験をすると、人は「自分は自分のまま自分らしく自由に生きていいんだ!」ということが実感できるようになります。

また、動物の場合は「子孫を残すために生き残る」目的がありますが、人間の場合は、それ以外にも「自由に楽しく生きる」ことも目的として生まれてきています。

この「自由に楽しく生きる能力」を使うためには、「お父さんとお母さんに守られている」という体験が未熟な赤ちゃんのときに必要です。その体験によって、「この世界は安全である」と赤ちゃんのときに学習されます。「自由に自分らしく楽しく生きていい!」という感覚がはじめて得られるのです。

乳児期に親からスキンシップがしっかり取られると、脳から「オキシトシン」が出やすくなり、ストレス耐性がつくなど、その後の人生にも大きく影響してきます。

しかし、赤ちゃんのときに、親が大変な状態で、あまりかまってもらえないと、「世界が安全である」という学習がなされなくなってしまいます。

親は赤ちゃんを十分に守っているつもりだけれど、未熟で動物的な要素をたくさん持っている赤ちゃんは、親に精神的な余裕がないのをすぐに察知します。

すると、赤ちゃんは「精神的な余裕がない親を困らせたら大変なことになる」と敏感に感じとるようになるのです。