マンションやオフィスビル、商業施設の建設現場では、年間300人近い人々が命を落としている。そんななか、現場の職人たちが安心して働ける現場づくりという観点で“働き方改革”に取り組む企業がある。足場メーカー・タカミヤに聞いた。(清談社 真島加代)
深刻な人手不足と資金繰りで
進まない働き方改革
働き方改革と聞くと「リモートワーク」や「有給消化義務」といった取り組みのイメージが強い。しかし、建設現場では政府が推奨しているような“働き方改革”の実現はかなり難しいという。
「建設業界は週休2日制の導入すらも困難な状況です。原因は現場で働く職人たちの給与形態にあります。彼らの給与は『日給月給制』で支払われます(詳しくは後述)。この賃金形態は働く日数が減るとその分だけ給与が減るんです。カレンダー通りに土日祝を休みにして、ゴールデンウイークなどの連休まで休むと生活ができなくなってしまいます」
そう話すのは、足場などの仮設機材の開発・製造、設計・施工を行う株式会社タカミヤ・上席執行役員営業本部東日本統括部長兼工事部長兼東京支店長兼アグリ事業管掌の川上和伯氏。