米政府から国防関連の仕事を委託されていたプラネットリスクの社員は2016年、ソフトウエアの試作品の開発中にあることに気付いた。米兵の携帯電話のアプリから収集したデータを通じて、米軍の作戦が追跡できる状況にあることが判明したのだ。プラネットリスクは当時、気象予報やゲーム、出会い系などのアプリから収集した位置情報を使って、欧米に向かうシリア難民の移動状況を監視するツールの構築を目指していた。複数の元社員がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の取材で明らかにした。同社の目的は、米国の防諜(ぼうちょう)および情報機関の当局者に対して、そのツールを販売することにあった。だが、そのデータには、シリア内の米特殊部隊が担う米軍の作戦という機密情報が埋もれていた。プラネットリスクのアナリストは、米国の軍事施設を出て、カナダやトルコといった国々を通過し、シリア北部にある放棄されたラファージュ社のセメント工場に行き着くスマートフォンのデータが把握できる状況にあった。当時その場所は、米特殊部隊と同盟軍の部隊集結地になっていた。