老後貧乏には絶対に陥りたくない!しかし、老後資金2000万円問題が話題になったように、将来に不安を抱えている世帯は実に多い。また、突如として健康状態が悪化するなど、まとまった資金が必要になることもあるだろう。特集『年金大改正 損をさせない活用術』(全4回)の最終回では、そんな事態に備え、年金の有利な活用につながる七つのポイントをQ&A形式で説明する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
老後資金2000万円の不足を
年金の受け取り方の工夫で補う
「老後資金が2000万円不足する」
2000万円という額の大きさもあり、2019年に話題になったこの数字を覚えている人も多いだろう。
この金額は金融庁の報告書で示された、一定の前提を置いて算出された数字だ。その前提とは、夫が65歳、妻が60歳で夫婦共に無職で30年後(夫が95歳、妻が90歳)まで存命、収入の9割強を社会保障給付(ほぼ年金と見なしてよい)が占める世帯だ。
このモデル世帯を対象にした、「家計調査報告」という統計に基づいた平均値による試算で、収入(20万9198円)から支出(26万3717円)を引いた月間の赤字額が5万4519円と算出された。約5.5万円として計算される30年間分の赤字が5.5万円×360=1980万円。ここから2000万円不足するとされたのだ。
現実には、30年間夫婦共にずっと健康で過ごせるとは限らない。医療費など多額の支出が必要になることもあるだろう。
こうした事態に対応するために、60代から無職で過ごすのではなく、できるだけ長く働いて収入を得るというのは常道であるが、一助として年金の受け取り方を工夫するやり方もある。老後貧乏が嫌ならぜひ知っておきたいところだ。
ここからは、2022年4月からの年金法大改正で損をしないためのポイントをQ&A形式で解説していこう。