高配当株の最大のメリットは
資産が消えていく恐怖からの解放
上場企業の2019年3月期決算は3期ぶりの減益で、期初の時点では今期の業績予想も横ばい予想となっている。だが、配当総額は過去最高を更新する見込みで、今後もその傾向が続く可能性が高い。なぜなら、安倍政権がコーポレートガバナンス(企業統治)改革を推進した結果、日本の上場企業も株主還元の強化に本腰を入れて取り組み始めたからだ。
老後資金に高配当株を組み入れる最大のメリットは、「資産がどんどん取り崩されていく」という恐怖から解放されることにある。高配当株を保有していれば、配当を年金だけでは足りない生活費に充当でき、資産の取り崩しが最小限になる。その企業が利益を稼ぎ続けている限り、配当を受け取ることができ、安定的に高配当を見込める企業は、株価が大きく下落するリスクも相対的に低い。
幸か不幸か、自分の寿命は分からないだけに、老後資産は「これだけあれば万全だ」というめどを付けにくい。その意味でも配当という収入源を確保しておくのは心強い。資産の一部を高配当株に投じておけば、人生100年時代が本当に到来しても、「長生きリスク」を抑えられるわけだ。
末永く着実に
高配当を期待できる銘柄に照準を定める
ただし、じぶん年金という目的を踏まえれば、単に高利回りであることだけに着目して高配当株を選んではいけない。業績が悪化して、先々で減配する(配当額を減らす)可能性のある銘柄を排除する必要がある。資産価値(株価)が下がりにくく、なおかつ安定的に高配当を見込める銘柄に照準を定めるのが正解だ。
そこで、データ分析に詳しいクォンツ・リサーチの西村公佑代表取締役社長に、じぶん年金として最適な高配当株の選び方についてアドバイスしてもらった。
「老後の高配当株投資で大事なのは、配当の安定性。業績が右肩下がりではなく、景気変動の影響を受けにくいことが大前提で、6つの条件を全て満たす銘柄が望ましい」