パートで働く配偶者が新たに厚生年金に入ると、どれだけ保険料を払い、どれだけ将来の年金が増えるのかは気になるところ。また、65歳以降、働きながら毎年もらえる年金額が増えるといってもピンとこない人も多いだろう。そこで、特集『年金大改正 損をさせない活用術』(全4回)の#2では、どれくらい働くかを考える材料となるよう、月収別、働く期間別に保険料や増える年金額を試算した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
106万円の壁を意識する
パート勤務者が増える
106万円。パートで働いている方なら、この数字を意識している人も少なくないだろう。
パートの人の年間の収入がこの106万円という水準を超えると、手取りの収入が大きく落ち込んでしまうからだ。厚生年金や健康保険に加入せざるを得ず、年金保険料、健康保険料の負担が一気にのしかかってくるからだ。いわゆる「106万円の壁」である。
だから、年末が近づくと、勤務時間を減らして収入が106万円を超えることがないように調整するパート勤務者が後を絶たない。
年金法改正前は、パートの勤務先が500人超の会社でなければ、年間の収入が106万円を超えていても厚生年金に加入する義務はない。しかし、改正後は段階的に基準が引き下げられ、2022年10月以降は100人超、24年10月以降は50人超の会社にまで加入義務の対象が拡大される。
厚生年金に加入することで保険料を負担することになるが、将来受け取れる年金の額も増える。「106万円の壁」を超えないように勤務時間を抑えるのがいいのか、それとも壁を気にせず働いて将来、もらう年金額を増やす方がいいのか。
その判断を下すには、実際に増える保険料の負担と、将来増える年金額を比較してみるのが一番だ。そこで、今回、収入額別、保険料支払期間別に保険料の負担額と年金の増加額を試算してみた。
これから加入の対象になる人だけでなく、すでに加入して保険料を支払っている人も収入や支払期間が同じなら、ほぼ同額になるから、参考にしてもらいたい。
今回の年金法改正では、「在職定時改定」という制度も導入される。65歳以降70歳まで働き続けることで毎年受け取る年金額が増えるというもの。保険料の負担が変わらないのに、受取額が増えるというメリットの大きい制度だ。この制度に基づいた受取増加額の試算も公開する。