野村ホールディングスが抱く米ウォール街の夢は、かつてないほど遠のいている。壮大さには欠けるが、もうけの大きい本国とその近隣に経営資源と専門知識を集中させる方が得策かもしれない。先月発生したファミリーオフィス(資産家一族の資産管理を担う運用会社)、アルケゴス・キャピタル・マネジメントの崩壊は、世界的な投資銀行を目指す野村にとって、新たな挫折となった。野村は27日、2021年3月期に米国の顧客との取引に絡み、2457億円(約23億ドル)の損失を計上したと発表した。野村はビル・ホワン氏が運営するアルケゴスのプライムブローカーとして融資を行っていた。ホワン氏はヘッジファンド、タイガー・アジアを設立した人物で、後に同ファンドをファミリーオフィスに変え、アルケゴスに改称した。