欧州連合(EU)指導部は目下、新型コロナウイルス禍の苦難をチャンスに変えようと、大型対策の最終的な取りまとめに入っている。低迷する域内経済に約1兆ドル(約110兆円)を投入するとともに、産業政策を根本から見直し、公正な貿易の確保に向けた防御を強化することが狙いだ。計画の主眼は、域内の頭脳からさらなる利益を得ることにある。これまでは、むしろ外国投資家の手にその恩恵が渡ることが多かったためだ。EUでは向こう数週間に、加盟27カ国のデジタル化や起業家育成、環境対策の進展を促す取り組みが始動、または公表される。米中経済が力強い回復を遂げる一方、ユーロ圏は1-3月期(第1四半期)にリセッション(景気後退)に陥っており、迅速な行動が切実に求められている状況だ。