銀行融資を断られるのも経験のうち、
数打てば当たる
上田 広瀬さんが不動産投資を始めてから、2008年のリーマンショックなどの暴落するイベントがいくつかあったと思います。その時のストーリーとか、ご経験とかは何かありますか?
広瀬 やっぱりリーマンショックの時は、あの後2年3年はすごい買い場でしたよね。でも、ファイナンスがすごい厳しくなって、いろんな金融機関がフルローンで出すよみたいなのが一気に締まって、頭金を2割3割入れてくださいってなったんで、そこではいい物件が買えましたね。
上田 その時は保有して耐えた、というかたちですか?
広瀬 そうですね、一部売ったりしたのもありますけど、買い増しできたような感じで、いいものを買えたなっていう感覚ですけどね。リーマンショックの直後とかは、不動産ファンドが持っている物件が、一斉にリストで売りに出されてみたいな感じになりました。
上田 ありましたね、バルクのセールが。
広瀬 そのリストのこれとこれを買いたいんだけどと、その後、買えたものがありました。
上田 なるほど。その時にそういった情報が回ってくるっていうのは、何かコツがあったんですか?
広瀬 私は、そんな大した投資家じゃないんですけど、何となく規模のちっちゃいものが混ざってたリストが回ってきたのです。
上田 そうですか。私は始めたのは、リーマンショック後だったので…。
広瀬 いいタイミングで始められて、いいですね(笑)。
上田 そうなんですよね、はい(笑)。ただ、その時には金融機関は、なかなか渋かったです。
広瀬 そこが難しいですよね。相場的に買い場の時(下がっている時)は、やっぱりファイナンスが厳しい。
上田 そうですよね。でも、やっぱり波がずれると言いますか、いい物件が出てるけど、市場も冷え切っているんで融資がつかないっていうジレンマが。ここで現金がある人は、いつでもすぐに買えますけどね(笑い)
広瀬 そうですね(笑)。
上田 ほんとにもう、私なんか全然その時現金がなかったので、もうひたすらいろんな銀行を回って、最初はスルガ銀行さんがOKと言ってくれたんですね。
広瀬 上田さんが本でも書かれてたと思うんですけど、僕も何行も断られた経験がありますし。
上田 そうですよね、やっぱり。
広瀬 数やってると、まあしゃべり方、プレゼンの仕方とかもこなれてきたりするし、こういうとこを注意すればいいんだなとか、そういうところも多分分かってきますし、断られるのも経験かな、みたいな。
上田 ほんとに5~6行断れて、最後の1行がOKと言ってくれれば、我々としては勝ちじゃないですか。
広瀬 もう全然、そうなんですよ。でも、やっぱり心が折れそうになったりとかしますしね(笑)。
上田 そうですよね、分かります。青山の物件は、11行ぐらい回ったんで、久しぶりに行脚しましたね。
広瀬 それはメチャメチャ、ハードだと思いますよ。どうやって引っ張ったんだろうなって。想像つかないですもん。
上田 ほんとに、いろんな銀行を当たりました。やっぱり耐用年数過ぎた物件は、なかなか難しいので。
広瀬 そうですよね。
(第3回につづく)
→第1回 生き残れる投資家は、自分なりの得意分野を武器にして「Creating α」を生み出す
(撮影・石郷友仁、構成・編集部)