どんな時代でも生き残れる不動産投資家になるための極意とは何か? 不動産投資で利益をあげ続けるためには、基本となる知識やノウハウを学ぶ必要がある。ハーバード大学デザイン大学院で最先端の知識を学び、それに自身の体験から得たノウハウをミックスして体系化したハーバード式不動産投資術』(上田真路著、ダイヤモンド社)が発売。本連載では、世界のどこでも通用する、遍的で再現性のあるナレッジである不動産投資術について、同書の中から抜粋してそのエッセンスをわかりやすくお伝えする。前回から特別編としてお届けしている対談記事の第2回。対談ゲストは、不動産賃貸業、不動産経営に関するコンサルティングやセミナー、不動産仲介事業を行う会社を経営し、自ら不動産投資家としても活躍する広瀬智也氏だ。リーマンショックという危機を乗り越えることができた理由とは、何だったのだろうか…。不動産投資を始めたいと思っている人、すでに始めている人、さらに上を目指したい人必読。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ。

リーマンショック後の買い場の時期に、<br />いい物件を買えた投資家と<br />買えない投資家を分けたものとは?Photo: Adobe Stock

木造二階建て築40年、1500万円の店舗物件が利回り30%に

上田真路(以下、上田) 最初の1棟目を買った後、そこから2棟3棟と増やす時の、広瀬さんなりの戦略というのは、どういったものだったんですか?

広瀬智也(以下、広瀬) まあいいのがあれば買う、みたいな感じではありましたけど、やっぱり正直ファイナンス(銀行融資)との絡みもあるので、そのへんは様子を見ながらって感じでしたけど。

上田 その後も、商業ビルが多かったんですか?

広瀬 2棟目も、木造二階建て築40年の店舗物件でした。

上田 なかなか、渋いですね。

広瀬 スナックとパブが入ってる、西武線沿線で駅から1分の物件なんですけど。それで1500万円の利回り30%の物件でした。

上田 それは、すごいですね(笑)。

広瀬 これ買っていいのかな、みたいな感覚だったんですけど。それもうまくファイナンスがついて、買えました。

上田 そうですか。利回り30%はすごいですね。

広瀬 ちゃんとお店も夜行ってみて、意外と地元の人たちで盛り上がっていて、これなら大丈夫かな、家賃払ってもらえるなと(笑)。

上田 ちゃんと地元に愛されている(笑)。

広瀬 はい。そういう調査を兼ねて、行きました。

上田 西部線沿線、どの辺りだったのですか?

広瀬 練馬区です。

上田 練馬区ですか。それは、今はもうさすがに持ってらっしゃらない?

広瀬 持ってないですね。2年ぐらい待ってて、倍ぐらいで、中国人の方が買ってくれたんですけど。

上田 そうですか。そうしますと、主に商業ビルなんかを仕入れられて、それで運用して2~3年で売却するようなかたちですか?

広瀬 そうですね、だんだん自己資金が寝ていくような感じになるので、上田さんの本にも書かれていましたけど、キャッシュフローを得ながら、どっかのタイミングで売却してキャピタルゲインをしっかりとって、次の投資に当てるっていうやり方ですね。上田さんと僕は近いようなことをやってるなという感じです。

上田 それは、30棟持っていた師匠の方からも、そういった薫陶があったんですか?

広瀬 師匠はどっちかと言うと、もっと長く持つようなやり方です。信用ももちろんあったので。僕はゼロに近いところから始めて、わらしべ長者じゃないですけど、小さい物件から始めて、だんだん大きな物件に移る、みたいな感じです。当時のレベルだと、まだ1億円とか2億円とかの物件でした。

上田 わらしべ長者ってすごくいい表現だなと思うんですけど、最初はほんと小さい物件から始めて、保有と物件入替のバランスを取りながら、どんどん雪だるま式に物件を大きくしていくのですね。

広瀬 そうですね。

上田 これなら、多分誰でもできる戦略ですし、丁寧にやらないとダメなんですけど。

広瀬 そうですね。銀行には長期で組んでるとちょっと早く返しちゃうことになるんで、銀行側から見たら、若干マイナスに見られる可能性はあるので、その辺はうまくやりながらというか…。