急速にオンライン英会話へ

 語学学校には閉鎖命令が出たが、セブ島からのオンラインレッスンについては、これまで一度も禁止されていない。そのため、育て上げた優秀な講師たちの雇用を守るために、急速にオンライン英会話へ軸足を移していく学校もあった。

 日系のセブ島語学学校の中で最大規模を誇り、もともと対面での留学、オンラインの双方半分ずつの割合で提供していた「QQイングリッシュ」では、間髪を入れず学生寮を講師のための寮に作り変えた。

コロナ禍のセブ島留学、取り残された日本人3000人とスタッフの運命やいかに大勢で楽しくお酒を飲める日はいつ来るか 画像提供:Kredo

 「ロックダウンをしているので、通えなくなる講師が出てしまう。留学生用の寮があったところに300台の二段ベッドを新たに購入し、状況に備えた」(QQイングリッシュ代表 藤岡頼光さん)

 一部、ワークシェアリングを導入した時期もあるが、全員の雇用を守り、今では新たな採用まで行っているという。

 フィリピンでは、若い講師が家族の生活を支えているようなケースもある。この状況下で収入が途切れなかったのは、そこで働く講師にとって強い安心感があったに違いない。可視化されないが、相当量の人を救っているのではないだろうか。

 しかし、そうはいっても、1年間、同じ場所で、仕事をし続けるのはなかなか精神的にもつらい。精神的なケアも大切だ。

 「仮設キッチンを10個つくり、講師が自由に調理できるようにした」(同、藤岡さん)

 現在は「GO HOMEプロジェクト」と題して、70人ずつ講師を実家に帰す取り組みをしているのだという。140人入るホテルを貸し切り、実家から戻った後は隔離期間として、そこに2週間滞在してもらうのだが、その期間も業務が続けられ、給与が減らない仕組みを作っているという。