プレゼンプレゼンで、そして日常のビジネスの場で言いたいことが伝えられるようになれば、英会話ができるようになるのと同じくらい、人生が変わる Photo:PIXTA

レビュー

 プレゼンと英会話には、共通点がある。いずれも最初は「失敗したら恥ずかしい」と引っ込み思案になり、できるだけ無難にやり過ごそうとする。「何としてもこれだけは言わなくては」という場面がくると、用意したメッセージを一生懸命しゃべるのだが、なかなかうまく伝わらない。このような状態で悩んでいるビジネスパーソンは多いのではないだろうか。

 本書『世界最高の話し方 1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』はまさにプレゼンをはじめ、「伝える」ことに悩んでいるビジネスパーソンのための書だ。著者が強調するのは、相手の感情を動かすことの重要性である。一方的に話すのではなく、話し手と聞き手が双方向にやりとりし、そこに何らかの「化学反応」が起きたとき、はじめて伝わり、人が動く。「言えば、伝わる」と思うのは、大きな間違いなのだ。

 アップルの創業者、故スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンは、聞き手を魔法にかけると言われるほどのものだった。彼は生まれつきそのような素質を備えていたのだろうか? それも多少はあるかもしれない。しかしあくまで「多少」だ。ジョブズのような不世出のカリスマでも、重要なプレゼンがあると、本番の数週間前から準備してリハーサルを繰り返していたのだという。

 話し方がうまくなりたいなら、練習するのみだ。本書に従い、TEDトークなどでお手本となる話し方を繰り返し見たら、あとはスポーツのように体にしみこませよう。プレゼンで、そして日常のビジネスの場で言いたいことが伝えられるようになれば、英会話ができるようになるのと同じくらい、人生が変わるだろう。(ヨコヤマノボル)