オイルショックによる1974年以来の中止
自動車業界に波紋
東京モーターショーを主催する日本自動車工業会(自工会)は4月、今秋(2021年10月~)に予定していた第47回東京モーターショーの中止を発表した。
豊田章男自工会会長(トヨタ自動車社長)は、「多くのお客様に安全、安心の環境でモビリティの魅力を体験していただくメインプログラムの提供が難しいと判断した」と、新型コロナウイルス感染拡大の収束の見通しが立たない中で、中止の決断に至った理由について説明した。オンライン開催も検討したが、「やはり参加型・体験型でなければ」ということで、苦渋の決断だったようだ。
3月の会見でも「正直、どうなるかわからない。そろそろ決定していかなければならない」と話していた豊田会長だが、コンセプトカーの用意など会員メーカー各社の準備が間に合わなくなるということで、半年前となるこのタイミングでの判断となった。東京モーターショーの2年に1度の開催という原則は曲げずに、次回は再来年の23年秋に「東京モビリティショー」(検討中)として開催するという。
東京モーターショーの中止はオイルショックで中止した1974年以来のことになる。今回の決断は、コロナ禍の自粛ムードが強まる中でやむを得ないものではあるが、世界的にも有名な一大イベントだけに自動車業界全体に波紋を広げている。
特に、東京モーターショー開催の後に続く地方モーターショーは、波及的に中止を余儀なくされそうだ。その他の多くの自動車関連イベントも影響を受けることになり、国内自動車市場活性化に水を差すだけでなく、自動車イベントの在り方も変化を迫られることになる。