iDeCoの税制優遇写真はイメージです Photo:PIXTA

年金といえば、公的年金である国民年金と厚生年金が圧倒的に重要だが、これを補う制度として個人型確定拠出年金(iDeCo)がある。加入は任意であるが、税制上の優遇措置が充実しているので、ぜひとも活用したい。(経済評論家 塚崎公義)

投資優遇税制が満喫できるiDeCo

 政府は「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」との掛け声とともに、国民が投資することを促すような税制優遇措置を設けている。ひとつは少額投資非課税制度(NISA)であり、ひとつは個人型確定拠出年金(iDeCo)であるが、本稿はiDeCoについて記す。

 iDeCoは、自分で決めた金額の掛け金を毎月、専用の口座に拠出して運用し、60歳になったら一時金または年金の形で受け取る、という制度だ。

 もともとは、厚生年金に加入できない自営業者を主な対象として作られた制度であるが、現在ではサラリーマンなども加入できるようになっている。

 毎月の掛け金の拠出限度額には差があり、自営業者が6.8万円、普通のサラリーマンや専業主婦が2.3万円、公務員が1.2万円などとなっている。限度額が少ない公務員などでも、毎月1.2万円を40年間拠出すれば、576万円になる。老後資金の重要な一部と言える金額であろう。

 iDeCoの大きなメリットは、拠出した金額が所得税などの計算時に控除されることだ。一般の投資は、所得から所得税を差し引いた残りの中から行われるのだが、iDeCoの場合、所得から投資をした金額を差し引いた残りの金額で所得税の金額が計算される。つまり、投資額に所得税などの税率を乗じた金額だけ税金が安くなるのだ。

 加えて、iDeCoに拠出した資金は、運用して運用益が出ても、その分が非課税となる。これも大きなメリットだ。特に若者が長期投資を行う場合には、投資元本が大きく増える可能性がある。

 老後に積立額を受け取る時にも、退職金などに準じた有利な税額計算式が適用される。もっとも、これを含めて「所得控除、運用益非課税と並ぶ3大メリット」と呼ぶ人がいるが、それはミスリーディングかもしれない。「所得控除された分は後日の受け取りの際に課税されるが、その税率は低いので、1.5大メリットだ」との感じであろうか。