どんな難しい英語にも効く!
複雑に見える内容であっても、「3語(主語・動詞・目的語)」の並べることで、短く明快に伝えることができます。翻訳の実務より、「3語の英語」の一例を見てみましょう。
「喫煙すると、火災報知器が起動します」
ありがちな英語:
If you smoke, the fire alarm will become active.
(9ワード)
↓
「3語の英語」:
Smoking will activate the fire alarm. (6ワード)
Smoking「喫煙すること」を表す動名詞を主語に使っています。active(起動している) という形容詞ではなく、activate(~を起動させる)という動詞を使っています。
このような技術的な文章まで、「3語の英語」はあらゆる内容をカバーすることができるのです。
日本人こそ、学ぶべきスキル
「日本人にありがちな英語」と「3語の英語」をもう一度比べてみましょう。「冠詞」の登場率が違うことがわかります。「冠詞」とは、名詞の前におかれる「不定冠詞a/an」や「定冠詞the」のことです。
日本人にありがちな英語:
My job is an English teacher.
I am an editor of books.
「3語の英語」:
I teach English.
I edit books.
「日本人にありがちな英語」は名詞(English teacher、editor)を多く使っているため、冠詞(an English teacher、an editor)が必要です。
「冠詞の使い方が難しい」と感じる多くの日本人にとって、冠詞が頻出する文章は組み立てるのが難しく、正しい表現へのハードルが一気に上がってしまいます。
「3語の英語」では、名詞の使用が最小限になります。ゆえに「冠詞」の使用も最小限となり、煩わしさから解放されるのです。その結果、誰でも簡単に、そして正しく文章を組み立てることが可能になります。
もちろん、
長文にも使える!
たった「3語」では、伝える内容が物足りないと感じる方も安心してください。ひとたび「3語の英語」が使えるようになったら、例えば次のように、詳しい情報をどんどんつけ足していくことが可能になります。
「3語の英語」+追加の情報
I teach English
to university students.
(私は英語の講師です。大学生に教えています)
I edit books
for business people.
(僕は書籍の編集者です。ビジネス書のね)
I teach English やI edit books のように、まず「3語」で文章の骨組みを伝えることで、その後は落ち着いて、必要な情報をつけ足していくことが可能になります。
なお、本連載で呼ぶ「3語の英語」は、I like English.のように、単語数が「3語」となる場合だけでなく、Smoking (will) activate (the)(fire) alarm.というように、全体は「3語」ではないけれど、3つの要素から成るという場合も含みます。
関連記事① 日本人の英語は「長くて、難しい」3語でしっかり伝わります。
関連記事② 日本人はbe動詞を使いすぎ!冗長な英語をやめるコツ
株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役。公益社団法人日本工業英語協会 専任講師
1997年より企業で技術分野の日英翻訳に従事。2000年、特許事務所で電子・電気、機械の特許明細書の日英翻訳を開始し、テクニカルライティングに出会う。特殊で難解な特許の英語であっても、平易に表現できないかと模索を始める。2001年に工業英検1 級取得。首位合格により文部科学大臣賞を受賞。2004年、フリーランス特許翻訳者になる。同時に、公益社団法人日本工業英語協会の専任講師に就任し、企業や大学の理工系研究者に対し、技術英語・特許英語の指導を始める。2014年4月、技術英語を専門とする翻訳と教育の会社、株式会社ユー・イングリッシュ設立。高品質の技術翻訳サービスと技術英語指導サービスの提供により、日本企業や大学における技術系英文の品質向上に尽力する。著書に『技術系英文ライティング教本』(日本工業英語協会)、『外国出願のための特許翻訳英文作成教本』(丸善出版)がある。