そもそも、金融機関の社員はそれほど自分で投資経験があるわけではない。インサイダー取引やフロントランニングと受け取られかねない行為を防ぐために、各金融機関はそれぞれの内部規定でかなり厳格に社員の自己投資を規制している。

 後ほど述べるが、本当に役に立つのは「十分な経験を持った人の話」である。そういう意味でも証券会社や銀行の社員、営業マンに聞いても的確な答えを得られることはないだろう。これは別に彼らが悪いわけでも何でもない。そもそもそういう職業なのだから仕方ない。投資家の側がそれをちゃんと理解しておくことが大切だ。

FPという肩書には
要注意な理由

 では次に、ファイナンシャル・プランナー(FP)はどうだろう?日本FP協会のホームページを見ると、ファイナンシャル・プランナーの民間資格であるAFPやCFPをもっている人は合計で18万4911人となっている(2020年9月末現在)。

 しかしながらその内訳を確認すると、金融機関に勤める人が53%、仕事上何らかの必要があり資格を取得した不動産会社や事業会社の人が19%、そして学生、主婦、団体職員といった人たちが22%なので、FPを業として営んでいる人は残りの6%しかいない。

 ということは、名刺にファイナンシャル・プランナーと書いてあっても独立して相談業務を営んでいる人とは限らないのだ。何しろ半数は金融機関の社員なのだから前述したことと全く同じことである。

 また、FPには得意分野というものがある。例えば医師でも内科や外科、耳鼻咽喉科といった専門性があるように、FPでも不動産、税金(税理士との兼任)、家計管理といった具合に自分の詳しい分野ははっきりしている。

 そして、その中で投資について詳しいという人はごくわずかなのだ。筆者も仕事柄、FPの人たちとの付き合いは多く、何百人も知り合いはいるが、その中で投資のプロと言えるのはほんのわずか、ごくひと握りの人たちだけである。

 それにそもそもFPの人は制度については詳しいので、自分の知識を補充するためには非常に役に立つ存在ではあるが、投資のアドバイスを個別具体的にしてくれるわけではない。そうしたアドバイスをするためには「投資助言業」の登録が必要だからで、その登録をしているFPの人もごく少数である。資産管理の考え方やノウハウはFPの人に教えてもらえばいいが、投資判断までを求めるのは無理だろう。