「無収入寿命0ヵ月」と
無一文からの再出発

 創業1年半、ようやく貯めた120万円がすっからかんになった。

 偶然だが、詐欺に遭った金額と手持ち資金が同額だった。

 120万円分のカニを仕入れ、180万円で売り、入金がなかった。支払いをしなければならず、手元の現金120万円で支払い、持ち金はゼロになった。

 周囲から心配されたが、私は意外とさばさばしていた。

「マイナスになったわけではない。借金を抱えたわけでもない。今から起業したことにしよう。それに将来成功したときに、このエピソードは本を書くときや講演のネタとして使える」

 手元資金はゼロになったが、1年半の経験値、取引先、顧客リストもある。

 経営をしていると、不況やトラブルに巻き込まれる。

 これは100%間違いない。

 会社が大きくなってから全資金を失ったら影響は甚大だが、この規模ならまだ巻き返せる。長い目で見れば、この時点で経験できたのはラッキーだ。

 無一文からの再出発

 無収入寿命(本書第1章で詳説)は「0ヵ月」だった。