ある日突然、異動や転職などでリーダーを任された。
配属先は慣れ親しんだ場所ではなく、
すでに人間関係や風土、文化ができ上がっている
“アウェー”のコミュニティ(会社組織)。
右も左も分からない中、
「外から来た“よそ者”」の立場で、
いきなりリーダーを任されるケースも
少なくありません。
また、多数のエンジニアを率いる非エンジニアの
リーダーなど、自分の専門外の領域でチームを
まとめなければならない
「門外漢のリーダー」も増えています。
今の時代、「よそ者リーダー」がリーダーの
大半であるといっても過言ではありません。
そこで、新規事業立上げ、企業再生、事業承継の
中継ぎetc.10社の経営に関わった
『「よそ者リーダー」の教科書』の著者・吉野哲氏が
「よそ者」こそ身につけたい
マネジメントや組織運営のコツについて伝授します。
今回は、コンサルタントを入れる際に、
リーダーが注意したいことについてお伝えします。
(構成/柳沢敬法、ダイヤモンド社・和田史子)

『「よそ者リーダー」の教科書』著者の吉野哲氏による、コンサルタントを入れる際に、リーダーが注意したいこととはPhoto: Adobe Stock

「あとはよろしく」と
「すべてお任せ」は危険

“よそ者経営”を進めていく中で、外部のコンサルタント会社(以下、コンサル)力を借りる場面がよくあります。

「銀行に『コンサルを入れて経営改善しろ』と言われたから頼んだのに、半年経っても何の成果も出ない。別のコンサルに切り替えても、やっぱりダメ。高いお金を払ってすべて任せているのに、何をやっているのか。コンサルなんて全然役に立たないよ――」

ある会社の社長からこんなグチを聞かされたことがあります。

自分で決断したわけではなく銀行に言われて依頼し、導入したら、後はほぼ丸投げ。それでいて成果が出ないことをコンサルのせいにしている──。

これでは「失敗するべくして失敗した」ようなものでしょう。

社長としてコンサル導入を決断する際、忘れてはならないのが「結果はすべて、自分(社長)の責任」という意識を持つことです。

中には銀行や親会社から言われて導入せざるを得ないするケースもあります。

しかしそれでもコンサルの導入は、経営方針や経営戦略など会社存続の根幹に関わる重大な施策。だからこそ、その決断も責任も、社長が背負わなければなりません。

もし期待した成果を得られなくても、その責任をコンサルに転嫁するのではなく、コンサルとの付き合い方を知らず、コンサルを活かせなかった自分の責任だと考えるべきなのです。

経営における意思決定が難しいのは、課題に対する答えがひとつではなく、必ずしも「正解」か「不正解」かだけで割り切れるものではないからです。

それでも、そこから今の自社にとっての「正解」を見出すのが社長の仕事、社長にしかできない仕事です。

コンサルは、そうした経営の意思決定について、さまざまな情報や分析結果やアドバイスを提供してくれます。しかし、コンサルの役目はそこまで。

最終的な決断を下すのは、誰でもない社長自身なのです。

コンサルとは、「あとはお任せ」と丸投げするのではなく、あくまで「実行するのも、責任を取るのも自分」という意識を持って付き合っていきたいものです。