「中国共産党結党100周年」
大きな節目が目前に迫った中国
6月12日21時から翌日未明にかけて、北京市天安門で中国共産党結党100周年大会に向けた第1回総合リハーサルが行われた。国営新華社通信の発表によれば、約1.4万人がリハーサルやセキュリティーといった名目で参加。リハーサルには、入退場、イベント本番準備、イベント本番、応急処置などが含まれ、現場には、軍の合唱団、国旗保衛隊、ボランティアといった人員が集まり、当日消防や音響などを担当する専門部隊もリハーサル参加したという。
中国民主化研究をテーマにする本連載は、「中国民主化研究とは中国共産党研究である」という立場を堅持する。その意味で、中国共産党結党100周年という、中国政治にとっての節目の季節や情勢に注目し、分析を加えることは、核心的命題といえる。
共産党指導部は、記念日に当たる7月1日をメインに、その前後にも各種記念イベントを行う予定であるが、各地方は、中央を盛り上げるべく、すでに独自の記念イベントを開催している。
昨今、中国全体が「紅色」に染まっており、政治的引き締めは前代未聞のレベルに達している。共産党体制に批判的な書籍、言論、活動の一切は、これまで以上に厳しく禁止されている。
また、「紅色旅遊」(レッドツーリズム)が流行している。中国共産党の歴史や政策に関係する名所(博物館や歴史的人物の故居など)を観光地化し、人民の「愛国心」や「愛党心」に火をつけ、そこに便乗する形で景気を活性化し、同時に党の政治的求心力を高める目的がある。
中国外交部の汪文斌報道官は、6月11日の定例記者会見にて、2019年、中国レッドツーリズム人数はのべ14億を超え、収益は約4000億元(約6兆円)に達し、新型コロナウイルスに見舞われた2020年も、レッドツーリズムが観光市場の復興を促したと説明している。
本連載でも、これから7月にかけて「中国共産党結党100周年」に着目していきたいと思うが、今回は、党と人民が一体となって歓喜の渦にありながらも、党指導部が昨今の国際情勢下で懸念する不安要素を扱いたい。それは、政治的節目を迎える中国に最も足りない、故に、党が最も欲しているもの、「信用」である。