首都圏「私立中高一貫校」の国際教育は、コロナ禍でどうなったのか知的好奇心を喚起するこうしたプログラムに参加するメリットは、日本人が英語を話せない最大の原因である『羞恥心」を払拭する「度胸」を身に付けられる点にあるのだろう(Double Helix2021の参加者) 写真提供:巣鴨中学校・高等学校

「代替プログラム」で示される学校の力

 アンケートでは、国際交流プログラムの実施についても尋ねている。こちらは複数回答が可能なため、合計は121にならないが、概略を見ていこう。

 まず、海外渡航を伴うプログラムを延期している学校が44校ある。高1予定のものを高2に実施予定という具合に、同じ生徒の参加が前提となっており、3校に1校はコロナ禍の過ぎ去ることを祈る状況となっている。一方で、プログラム自体を中止とした学校も15校ほどあり、今年度の対応を決めかねている学校も見られる。

 多かったのは、「海外交流プログラムの内容に即し、オンライン等を利用して実施」した学校で、50校(うち男子1校、女子21校)ある。思い起こせば、昨年の新学期は泥縄のオンライン授業から始まった学校も多かった。公立中学校がプリントを配って手をこまねいていたのと比べると、曲がりなりにも生徒とオンラインを利用して意思疎通を図ることができた学校は私立が圧倒的に多かった。前回見たように、2022年受験生が増加気味の傾向を見せているのも、この点がかなり大きいはずだ。

 こうしたオンライン活用が、国際交流プログラムでも遺憾なく発揮された。中心となるのは、訪問先の現地の学校や大学との、リアルタイムでの語り合いである。初対面の人とネットでやりとりするのは間合いが取りにくいものだが、その点も経験することができた。

 そのままの実施が困難な場合には、新たなプログラムを作成することになる。3分の1にあたる41校がそのように取り組んでいる。

 その具体的な例として、男子校の巣鴨中学校・高等学校が「Learning in Adversity (逆境における学び)」をテーマに、今年3月から1カ月弱の間に実施したプログラム「Double Helix(二重螺旋)2021」を挙げておきたい。

 二重螺旋(らせん)というと、DNAを思い浮かべるが、ここでは「基礎知識」と「高次の思考力」が絡み合い、つながりを意識できるような姿を想定している。パンデミックの中でのブレークスルーをイメージ、巣鴨のみならず、駒場東邦、広尾学園、市川、そして女子校(鷗友学園女子・豊島岡女子学園・洗足学園・南山女子部)の高校生にも呼びかけている。

 50人ほどの参加者が小グループに分かれてプレゼンの準備をしながら、芸術・言語・医療・免疫・歴史を専門とする5人のイギリス人講師とオンラインでセッションした。このプログラムの参加費用は2万円と格安だった。