昨年の夏休みの終わり頃に実施された国際体験プログラム「英語体験合宿in Tokyo」 写真提供:特定非営利活動法人NPO学校支援協議会

新型コロナに直撃された海外渡航プログラム

 時差が少なく治安もいい南半球の英語圏、ニュージーランドやオーストラリアは、私立中高一貫生の国際交流プログラムで人気のデスティネーションだ。春先にオークランド国際空港で、首都圏を代表する3つの難関・上位校の生徒グループと出くわしたことがある。

 中高一貫校には高校受験がない。中だるみの時期となる中3から高1にかけて、現地のホストファミリー宅にお世話になりながら、数週間、現地の学校にも通って同世代の生徒と交流を持つ在外研修プログラムが多くの学校で採用されている。大手旅行会社の仕切りで、ある程度パッケージ化されており、送り出す学校側としても安心感がある。

 ところが2020年の春先からの新型コロナウイルスのまん延で、こうした海外渡航を伴うものはことごとく中止もしくは延期、あるいはオンライン利用や国内での新たなプログラムに振り替えられてしまった。

「現地に行くこと」を国際教育の中核に据え、それで受験生を引きつけてきた学校にとっては一大事である。そこで、森上教育研究所の協力を得て緊急アンケートを実施、121校から回答が寄せられた。うち男子15校、女子34校で、残りは共学校である。このアンケート結果も交えて、各校の置かれた現状を見ていこう。

 まずはおカネの問題からである。希望者参加型なら一時金の徴収で済ませる場合もあるようだが、全員参加ともなると、修学旅行のように積み立てることが一般的だ。その費用だが、南半球なら1週間程度で30万円が相場だろうか。学校によっては複数回実施したり、半年や1年間の短期留学も用意されており、こちらはケタが一つ上がる。

 まず、121校中65校は積立制度がなかった。積み立てを行っている学校のうち30校は返金している。残りの学校のうち19校は実施可能となる日を待って保持しており、18校は代替プログラムに充当している。合計数が回答校数を上回るのは、複数のプログラムで対応が分かれた結果である。