手のひら返しでお祭り騒ぎするマスコミ…
そうして「サクセスストーリー」だけが刷り込まれる

 TVプロデューサーのデーブ・スペクター氏が自身のツイッターで、皮肉たっぷりにつぶやいて話題になった。

「東京五輪が始まるまでにタレントやコメンテーターがコメント予習
 イ)なんだかんだ言ってオリンピックっていいな!
 ロ)割り切ってスポーツとして見ましょう!
 ハ)やっぱり開催してよかった!」
https://twitter.com/dave_spector/status/1404731084428898306より

 実はこれはかなり鋭い指摘だ。

 スポンサーなどで五輪に関わるマスコミには、「どうせやるなら盛り上がってくれないと困る」という大人の事情がある。開催すれば「安心安全」などどうでもよくて、手のひら返しでお祭り騒ぎを始めるだろう。テレビは朝から晩まで「日本のアスリートはスゴイ!」「感動をありがとう!」と世論を盛り上げていくのだ。

 このような形になると、開催に至るまでの組織委員会のゴタゴタや、国民に犠牲を強いていたことなどネガティブな話は徐々に忘れられていく。そうして10年、20年と時が経過すれば、「五輪はコロナ禍の日本人を勇気づけた」という日本人好みの「サクセスストーリー」だけが語り継がれていく。そして気がつけば、それが「正史」として国民の頭に刷り込まれて、ゆくゆくは冒頭のように子どもたちにまで「ナショナリズム丸出しの思想教育」を施してしまうおそれがある。

 そういう意味では、未来の日本人のためにも、現代を生きるわれわれは、これから起きるであろうマスコミの「いろいろあったけど、やっぱり五輪って最高ですね」という手のひら返しにかなり警戒しなければいけないのだ。

小学校低学年向けの指導案から見える東京五輪の「真実」

 五輪を盛り上げるだけで、そんなことにはならないでしょ、と思う人もいるかもしれない。しかし、現実問題として、すでにわれわれはオリンピックで、子どもたちに「ナショナリズム」を押し付けている。