春秋航空日本は新型コロナの影響で成田空港から中国本土への6路線のうち4路線が運休、2路線が減便。国内線も減便春秋航空日本は新型コロナの影響で成田空港から中国本土への6路線のうち4路線が運休、2路線が減便。国内線も減便 Photo:AFLO

日本航空(JAL)は6月29日、中国系LCCの春秋航空日本に対して出資比率を引き上げ、連結子会社化した。新型コロナウイルスの感染が広がった当初から、航空業界では同社が淘汰・再編されるのではないかと注目されていた。2020年3月28日号「週刊ダイヤモンド」の第1特集「倒産連鎖危険度ランキング」から再掲載する。

週刊ダイヤモンド2020年3月28日号の第1特集から一部を抜粋して再構成。数値や社名など情報は雑誌掲載時のもの。  

 日本航空(JAL)は火中の栗を拾うのか。業界で目下、ひそかに注目を集めるのが、中国LCC(格安航空)最大手である春秋航空の日本法人、春秋航空日本の行方である。

 同社は春秋航空が33%、他に航空機リースの山佐や投資ファンドなどが出資して2012年に設立。だが、後発の参入となり苦戦し、19年度(12月期)まで8期連続の赤字。17年度からは負債が資産を上回る債務超過に陥っている。

 そこで再建に協力してきたのがJALだった。18年から整備を支援し始め、経営中枢に幹部人材を送り込み、19年にはひっそりと出資もしている(1%未満)。

 ところがである。新路線も開設し、「黒字転換に向けて道筋がついてきた」(同社幹部)矢先、コロナショックに見舞われた。成田空港から中国への6路線のうち4路線が運休、2路線が減便。国内3路線も一部欠航を強いられている。

 新型コロナウイルス感染拡大によって業界は危機的状況にある。国際航空運送協会(IATA)は3月5日、新型コロナによる旅客需要の減少で世界の航空会社の20年収入は最大約12兆円減るとの試算を出した。人の移動を制限する動きが世界へ広がり、IATAの試算も2月時点より深刻なものに塗り替わった。