日本航空(JAL)は6月29日、経営難で「虫の息」だった春秋航空日本への出資比率を引き上げ、連結子会社化した。同社は赤字続きで、債務超過に陥っていた。それでもJALが救いの手を差し伸べたのはなぜなのか。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
虫の息の中国系LCCに
救世主JALが寄せる期待
日本航空(JAL)は6月29日、約5%を出資していた格安航空会社(ローコストキャリア、LCC)、春秋航空日本(スプリング・ジャパン)へ追加で出資し、出資比率を66.7%に引き上げて連結子会社化した。
スプリング・ジャパンは中国最大手LCCの日本法人で、その去就が注目されていた。というのも会社設立以来、9期連続の営業赤字で、2017年12月期からは負債が資産を上回る債務超過に陥っていた。そこに新型コロナウイルス感染拡大が襲来して航空需要は途絶え、まさに絶体絶命、虫の息であった。
わずかな希望の光が、救世主JALによる追加出資だった。JALは18年からスプリング・ジャパンの業務支援を始め、経営中枢に幹部人材を送り込み、19年には少額出資した。そのかいあって、スプリング・ジャパンは新規路線の開設を実現し、黒字転換への道筋がようやくついた――。そう思った矢先、コロナショックに見舞われた。
日本のLCC市場ではピーチ・アビエーションとジェットスター・ジャパンがツートップであり、彼らに比べると知名度や運航規模で圧倒的に劣る同社。それでもJALが救いの手を差し伸べたのはなぜなのか。