有楽町の有名スイーツ店

 さらに2週間がたった。

 今日は月一度の安曇教授とのミーティングの日だ。ヒカリは質問したい項目を書き出して、安曇が指定したスイーツの店に向かった。

 その店は、有楽町駅から歩いて数分のところにあった。店内には高価なチョコレートが宝石のように大事に並べられていた。

 約束時間より20分も早く着いたのに、安曇はすでにいちばん奥の席でスマートフォンと格闘していた。

「やあヒカリちゃん。これでこの店を見つけたんだ」

 と言って、自慢げにスマホを披露した。

「クラークシップはどんな具合だね」

「知らないことばかりです」

「それはいいことだ」

「いいこと、ですか?」

「いままで、君は自分が無知であることさえ知らなかったんだからね」

 安曇はうれしそうに笑った。

「これなんですけど――」

 ヒカリはハンドバッグからノートを取り出して安曇に見せた。

 そこには「限界利益の意味?」と書かれていた。

「考えれば考えるほど、わからなくなってしまって……」

「悩むのは、君が多少進歩した証なんだよ。悪いことではない」

 安曇は優しく言った。