注文したトリュフを載せた皿とコーヒーが運ばれてきた。安曇は、ヒカリの質問をそっちのけでトリュフの数を数えた。
「全部で五つか。じゃあボクが三つ食べるとしよう」
安曇は勝手にそう決めると、一つを丸ごと口に入れた。
「うまいね。君は一ついくらか知っているかね。400円もするんだ。それと、このコーヒーは一杯600円。全部合わせて3200円だ。これだけ出せば、100円のチョコレートを32枚食べられる。だが、こんなに高くても、この店は賑わっている。不思議だとは思わないかね」
と言って、安曇は二つ目のトリュフを口にした。
「おいしいし、お店の雰囲気が素敵だからではありませんか?」
安曇は首を左右に振った。
「強気の商売をしているから?」
「それも違う」
「……」