『週刊ダイヤモンド』7月17日号の第一特集は「株価 給料 再編 5年後の業界地図」です。コロナ禍を経て世界的トレンドが急加速する中、日本の各産業も大転換の途上にありますが、そこで気になるのは今後の行方です。本特集では、主要11業種の先行きを大展望し、5年後の業績予測や業界内序列、再編シナリオまでを徹底分析。さらに、成長性の高い注目企業の経営者インタビューを併せてお届けします。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
21世紀の産業界は5年ごとに
潮目が大きく変化してきた

21世紀の産業界を振り返ると、「5年」という時間軸で潮目が大きく変化してきた。
例えば、今から5年前の2016年5月。トヨタ自動車は17年3月期の連結営業利益が5期ぶりに大幅減益になる見通しだと明らかにした。トヨタ自動車の豊田章男社長はその際の決算記者会見で、「これまで数年間は為替による追い風参考記録が多かった」と話し、本来の実力以上に利益がかさ上げされていたことを認めた。
追い風とは、12年終盤から始まったアベノミクス相場の影響で進んだ急速な円安のこと。輸出企業は大きな恩恵を受けていたが、16年には円高傾向に転じたのだ。
豊田氏は「風がやんできたことで、等身大の姿が見えてきた。今年は意志の強さが試される年だ」とも表明。結果的に地力の強さを見せつけ、17年3月期の営業利益は2兆円弱と、当初計画を大きく上回る水準を確保するに至った。
あれから5年――。20年前半から新型コロナウイルスが猛威を振るい、産業界にも多大な影響を与えた。例えばテレワーク拡大による白物家電特需など、普段なら買われないものの需要が急増する一方、インバウンド消費は消滅。急成長した企業も、経営危機に陥った企業も、冒頭の言い方になぞらえれば、20年から直近までの業績はいわば「コロナ下での参考記録」。本当の正念場はこれからといえるのだ。