どんな時代でも生き残れる不動産投資家になるための極意とは何か? 不動産投資で利益をあげ続けるためには、基本となる知識やノウハウを学ぶ必要があります。ハーバード大学デザイン大学院で最先端の知識を学び、それに自身の体験から得たノウハウをミックスして体系化した『ハーバード式不動産投資術』(上田真路著、ダイヤモンド社)が発売されました。本連載では、世界のどこでも通用する、遍的で再現性のあるナレッジである不動産投資術について、同書の中から抜粋してそのエッセンスをわかりやすくお届けします。良い不動産をデザインするとは、どういうことか? 驚異のリターンを実現するファイナンスの極意とは? 不動産投資のリスクをどうコントロールしたらいいのか? などについて、実際の事例(ケース・スタディ)を踏まえてそのメカニズムを解き明かしていきます。不動産投資を始めたいと思っている人、すでに始めている人、さらに上を目指したい人必読です。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ。
資産運用成績/内部収益率(IRR)と資産拡大倍率(Multiple)
ここでプロ・フォルマ(資産運用の未来予想図)を描く際に注目すべき指標をあげておく。
・投資総額:とくに自己資金がいくらで、融資はいくらかが重要
・想定運用期間:つまり何年で売却を想定するのか(短期、中期、それとも超長期?)
・キャッシュフロー:毎年の不労所得(Income Gain)と売却益(Capital Gain)
・資産運用成績(内部収益率)IRR:どれだけの複利で自分の資産が増えたか
・資産拡大倍率(X/Multiple/マルチプル):投じた自己資金が何倍になったか
まず資産運用成績/内部収益率(IRR)と資産拡大倍率(Multiple)という概念について、簡単に表でお伝えする。
それ以外の指標はおそらくイメージがつきやすいと思うし、何よりご自身の資産拡大の未来予測が真っ先に知りたいことだろうから。
下の今日投資した1ドルが、仮に5年後に複利計算ではどうなっているかを示した表を見て欲しい。ハーバードでの不動産ファイナンスの授業も、まずはこの1ドルの将来価値を紹介するところから入る。
もし複利計算の利率が5%なら、5年後には1ドルが1.28ドルになっている。そして25%での複利では驚くことに3.05ドルが5年後の1ドルの価値だ。
わかりやすく今日の1ドルの複利の動きを追っているが、仮に、自分の投資した金額が1000万円だったらどうだろう? もちろん複利25%での5年の運用では約3倍に膨れ上がる。
そして約3倍という、この資産拡大倍率のことを3X(スリー・エックス)のMultiple(倍率)という。Xを単純に「かける」に見立てた、ちょっとカッコつけた呼び方だが、このXが大きければ大きいほど自分の資産が倍数計算で伸びているということだ。