「てこの原理」を使って、効率よく資産を拡大する

 ところで、不動産投資を行うには、すべて自己資金(キャッシュ)で行うのではなく、賢く融資をつかうのが当然だ。そして、もし自己資金が少なくてすみ、大半を融資で賄うことができるなら、この資産運用成績/内部収益率(IRR)と資産拡大倍率(Multiple)も格段に効率よく伸ばすことができる。

 例えばこうだ。1億円の物件を購入するために自己資金500万円で、残りの9500万円をローンで引けたとしよう。そして毎年のローン後キャッシュフローが500万円入ってきたとすれば、あなたの投じた資金はすぐに回収できるほどの投資効率だ。

 そして、1億円の物件がもし5年後に1億5000万円で売却できたとしたら、売却益5000万円に加えて、5年間のローン後キャッシュフローが累積している。単純計算すると以下になる。

 ・ローン後キャッシュフロー:500万円×5年=2500万円
 ・売却益:1億5000万円―総投資額1億円=5000万円
 ・総合リターン:2500万円+5000万円=7500万円

 つまり、自分の少ない自己資金500万円に対して、9500万円の融資のおかげで1億円の資産を動かし、驚異の7500万円のリターンを得ている!

 あたかも、自分の小さな資金に、融資の「てこの原理」をつかって、大きな不動産資産を運用し、拡大されたリターンを得ているようだ。この様子から、ファイナンス用語では自分の自己資金にレバレッジ(てこの原理)をかけるという。

 つまり、この場合のレバレッジが利いた資産運用成績/内部収益率(IRR)や資産拡大倍率(Multiple)は凄まじいものになる。

 数字としてはIRRが約120%超でMultipleが約15倍だ。ここに、僕自身も貯金を26倍にした秘訣がある。この「てこの原理/レバレッジ」を利用した資産拡大の指標をレバレッジドIRR、レバレッジドMultipleという。

上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。
鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。
1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。
大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。
同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。初の著書に『ハーバード式不動産投資術 資産26倍を可能にする世界最高峰のノウハウ』(ダイヤモンド社)がある。