わずかな時間で相手の心をつかむことができる人は、あらかじめ何を考え、どんな振る舞いをしているのか。これまで1万1000人以上のビジネスパーソンや経営者の成績アップに貢献してきた営業コンサルタント・浅川智仁氏の新著『仕事ができる人は、3分話せばわかる』からの抜粋で、短時間で相手を納得させるための実践テクをレクチャーする。
「すぐに」が示す時間は
人によって異なる
企業の新人研修などで、参加者に対して、よくこんな質問をします。
「上司から、『この書類のコピーをすぐに頼む』って言われたとします。そう聞いたとき、パッと感覚的に、どれくらいの時間でコピーをして持って行けばいいと思いますか?」
回答は、本当に、人によってまちまちです。
同じ会社の社員でも、「1秒後にはコピーに取りかかります」って答える人もいるし、「自分の仕事のキリがいいところでコピーして、1時間以内には持って行きます」と答える人もいる。
ある企業での研修では、「1時間以内です」って回答する社員のうしろで、その社員の上司が、「あっ、だからコイツ、いつも仕事が遅いんだ……」という顔をしていたこともありました。
1時間とはいわなくても、「すぐにコピー」と頼まれたときに、「1分以内」と思う人と、「5分以内」と思う人の間では、すでに5倍の開きがあります。
この認識のズレが、上司と部下の間にあったとき、悲劇が始まります。