デジタル課税と最低法人税率のG20合意はどれだけ「画期的」かPhoto:PIXTA

GAFAなど大規模多国籍企業へのデジタル課税の国際的枠組みと、引き下げ競争が続いていた法人税率に下限を設けることについてG20・OECD(経済協力開発機構)で基本合意が成立した。これまでの課税のあり方を大きく変える画期的な合意だ。その歴史的意義と今後の課題を整理した。(東京財団政策研究所研究主幹 森信茂樹)

新たな法人課税ルール
10月に最終合意

 G20・OECD(経済協力開発機構)では、デジタル経済の発展に現行の法人税制が追い付けないという問題意識から、BEPS(税源浸食・利益移転防止)プロジェクトを創設し2012年から継続的に法人税制の再構築に向け議論をしてきた。15年10月のBEPS最終報告書では結論が出ず、BEPSⅡとして20年までの合意を目指して議論が続けられてきたが、米国トランプ政権の消極姿勢もあり難航していた。

 このような中、7月1日、139カ国・地域で構成されるOECD「包摂的枠組み」で、新たな法人課税ルールの基本合意が成立(8カ国・地域は態度を留保)、7月10日のG20蔵相・中央銀行総裁会議での大筋合意となった。10月に最終合意が予定されている。

 合意内容は次の2つの柱からなる。