米と小麦の決定的な「違い」とは?

 小麦の生産量は7億6576万トン(2019年)です。涼しく半乾燥に適した栽培条件をもち、米より栽培範囲が広い穀物です。輸出量は1億9678万トン(2017年)と生産量に対して約22%。米は約5%でしたので、米よりも商業的な性格を有しています。

 小麦の輸出はアメリカ合衆国、カナダ、フランス、オーストラリア、ロシアの5ヵ国で約64%を占めています。ロシアは、肥沃なチェルノーゼム(黒色土)が分布する南部地域へと生産の適地適作化を進め、近年生産量、輸出量ともに伸びています。

 三大穀物の中で生産量が最大なのはトウモロコシです。生産量は11億4849万トン(2019年)を数え、アメリカ合衆国と中国の2ヵ国で生産量の52.9%を占めています。

 先進国ではトウモロコシを飼料用として利用することが多く、近年ではバイオエタノールの原料としても利用します。

 ブラジルは高温多雨の気候を利用してトウモロコシを年に3回収穫しており、特に6~9月に収穫したトウモロコシはアメリカ合衆国の収穫時期とずれているため端境期(はざかいき)出荷として輸出されています。

 これを背景に、2018年の生産量は2000年比でおよそ2.5倍にまで増加し、そして輸出量はアメリカ合衆国に次いで世界2位となりました。また、近年ウクライナの生産量が増加傾向にあります。これは日本や中国向けのトウモロコシ生産が堅調であることなどが背景にあります。

(本原稿は、書籍『経済は統計から学べ!』の一部を抜粋・編集して掲載しています)