「アップサイクル食品」では加工プロセスでの食品ロスを削減
オイシックス・ラ・大地は昨年11月、5施策から成る「新しいグリーンシフト5」を発表した。その中には「フードロス削減の取り組み強化」も含まれている。すでに長らく取り組んできた不格好・ふぞろいな商品の調達と販売をさらに広げていく計画だ。
この「グリーンシフト5」からして、農水省が今年5月に打ち出した「みどりの食料システム戦略」と随所で強く響き合うものであり、フードロス削減の強化も例外ではない。「みどりの食料システム戦略」でも「見た目重視の商品選択の見直し等、環境にやさしい消費の拡大」「農産物の規格(出荷時)の見直し等による消費の拡大」が盛り込まれている。オイシックス・ラ・大地による不格好・ふぞろいな産品の積極的な販売は、こうした目標を先取りしている形だ。
もう一つ、同社の「グリーンシフト5」で農水省の「みどりの食料システム戦略」と強くシンクロしている施策がある。「アップサイクル食品の販売推進」だ。
アップサイクルとは、従来は廃棄されていたモノに新たな付加価値を上乗せすることで新しい製品を生み出すこと。今年7月、同社は「Upcycle by Oisix」を開始し、第一弾の取り組みとして「ここも食べられるチップス」シリーズの2商品を発売した。冷凍ブロッコリー向けに花蕾(からい)部分をカットした後に残る茎や大根の漬物の生産のためにむかれた皮を原料とした野菜チップスだ。
この2アイテムだけでも同社は、ブロッコリーの茎と大根の皮の廃棄量が月間2トン以上減ることを目指している。同社は今後ラインアップを拡充し、3年後には商品製造での提携先100社で年間約500トンの廃棄物削減を目指す考えだ。この取り組みは、農水省が「みどりの食料システム戦略」で唱える「食品ロスの削減など持続可能な消費の拡大」を具現化するものだろう。
「日本では昔から、米ぬかやおからなどを捨てることなく大事に生かしてきました。この『もったいない』という文化を当社では以前から大事にしてきており、今回の『Upcycle by Oisix』は、その取り組みを新しいアイデアや技術でさらに進めていくものです。楽しく手軽にフードロスをなくしていくのが理想であり、お客さまに新しい価値を届け、いつの間にかフードロス削減に貢献していたんだと思ってもらえたらうれしいです」(東海林氏)