みどりの食料システム戦略 第2回:ビジネスの現場で、もう始まっている「農と食の未来」

事例3 富山環境整備[富山県富山市]
廃棄物焼却で得る電力と熱でハウス栽培
ICTも活用した「新しい農業」で地域と雇用を支える

◆「みどりの食料システム戦略」への主な対応分野◆
①資材・エネルギー調達における脱輸入・脱炭素化・環境負荷軽減の推進
②イノベーションなどによる持続的生産体制の構築

 農水省は「みどりの食料システム戦略」において、「持続可能な資材やエネルギーの調達」「地域・未利用資源の一層の活用に向けた取組」「機械の電化・水素化等、資材のグリーン化」の推進を唱えている。

みどりの食料システム戦略 第2回:ビジネスの現場で、もう始まっている「農と食の未来」婦中町事業所内の「次世代施設園芸エリア」には、トマト用ハウス18棟(計2.8ヘクタール)や花き用ハウス10棟(1.2ヘクタール)などが広がる
みどりの食料システム戦略 第2回:ビジネスの現場で、もう始まっている「農と食の未来」トマトは、特殊な培地と溶液を用いる「アイメック栽培」で生育される。自社電力でのLED補光照明で、北陸特有の低日照も克服

 エネルギーへの依存度が高い産業として、多くの人の頭にまず浮かぶのは製造業だったり運輸業だったりするだろう。だが、実は農業もエネルギーの重要性が高い産業だ。生産面だけを見ても、農業機械を動かしたり温室内の環境を保持したりするにはエネルギーが欠かせないし、機械化や施設栽培などの技術が進むほどエネルギーの必要性は上がっていく。

 だからこそ農水省の「みどりの食料システム戦略」においても資材やエネルギーをどのように調達するのかが重要課題になっているわけだが、こうした課題に、すでに答えを出しつつある企業がある。富山県富山市を拠点としてトマトやトルコギキョウ(花き)、イチゴなどの施設栽培を手掛ける富山環境整備だ。

農業事業のエネルギーはほぼ自家調達

みどりの食料システム戦略 第2回:ビジネスの現場で、もう始まっている「農と食の未来」富山環境整備
営業企画グループ リーダー
アグリ事業部 次長
高田雅史

 同社は1972年創業の廃棄物処理事業者であり、現在は自社施設での収集・運搬・中間処理・最終処分までの一括処理を行う県内大手。農業分野には2000年度に参入し、現在では同社アグリ事業は、ビジネスの柱の一つに育っており、同事業部の高田雅史氏は次のように語る。


「栽培品目の中で最も収量が多いトマトの年間収穫量は300トン。自家エネルギーを活用する施設栽培なので通年での生産・出荷が可能になっており、品質の高さに加えて供給の安定という面でもお取引先に喜んでいただけています」

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