―― 筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニスト
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東京五輪の卓球混合ダブルスで26日、日本の水谷隼と伊藤美誠が金メダルを獲得し、王者として君臨してきた中国にショックを与えた。しかし、中国の台湾への圧力に対する日本の反発が次第に激しさを増していることは、中国にとって五輪の栄光を逃したことよりもひどい胸やけを引き起こしている。
注目された日本政府の動きはすべて台湾絡みだ。7月9日には、われわれの社説が麻生太郎副首相の発言を取り上げた。麻生氏は、中国が台湾に侵攻すれば日本の「存立」を脅かす恐れがあると指摘し、そうなれば日米は共に台湾を防衛すると述べた。その翌週に公表された日本の年次防衛白書は、これまでの慣例に反し、日本にとっての台湾の重要性を強調している。防衛副大臣の中山泰秀氏は、私が所属するハドソン研究所での講演で、世界は中国が台湾にもたらす脅威に「目を覚ます」必要があると語った。岸信夫防衛相は先月のインタビューで、より明確な姿勢を示し、「台湾の平和と安定は日本に直結している」と語った。
岸氏が話すと、中国は注目する。安倍晋三前首相の弟にして岸信介元首相の孫であり、佐藤栄作元首相を大叔父に持つ岸防衛相は、以前から日台関係に関し踏み込んだ発言をしてきた。台湾の二大政党のうち中国からの独立により前向きな民主進歩党と緊密な関係を維持している同氏は、中国政府による批判の格好の標的になっている。岸氏が防衛相に就任し、日本の台湾政策に関する新たなコンセンサスの中心になったことは、現在進行中の変化の深さを象徴している。