「元々自転車を始めたのは、大学のテニス部を辞めたことがきっかけだったんです。体力はあるのにセンスが無くて、先輩の球拾いとかサポートばっかりやっていたんですね。私は体育会系だから競技に出ていないと楽しめなくなって、もういいかなぁって思っちゃったんです。(略)たまたま趣味としてロードバイクに乗っていた伯父さんが『その脚は自転車に向いているから、気分転換にでも乗ってみれば?」と言ってくれました』(サイクリングファンのための情報サイト「シクロワイアード」2013年12月18日)。

 5位は明治大18人。若手、ベテラン、熟練がそろう。平田しおり(射撃)は政治経済学部4年、石田吉平(7人制ラグビー)は文学部3年で、いずれもそれぞれの競技で若手の成長株と言われている。

 水谷隼(卓球)の知名度は全国区であろう。2008年、12年、16年、そして東京2020大会の4大会連続でオリンピック代表となった。2016年大会では団体で銀、シングルスで銅メダルを獲得。日本人で初めてオリンピックのシングルスメダリストとなった。

 馬術では40代の明治大OBが選ばれた。北原広之(49歳)、大岩義明(45歳)、福島大輔(43歳)である。競技者としては熟練の域に達している年齢であろう。北原は9月で50歳を迎え、東京2020大会の代表のなかでは最年長となっている。

 6位は東洋大14人。桐生祥秀(陸上)、萩野公介(競泳)というスターが輩出した。桐生は100メートルで日本人初の9秒台(9秒98)を記録した。萩野は2016年大会において400メートル個人メドレーで金、200メートル個人メドレーでは銀メダルを獲得している。

 2012年大会のボクシングで史上初の金メダリストとなった村田諒太もまだ記憶に新しい。当時は東洋大職員だった。

 池田向希、川野将虎(競歩)は今年卒業した。2人はライバルとして互いをリスペクトし合う仲だった。川野は母校愛が強く、拙著のインタビューでこう話している。

「大学4年の時にオリンピックが東京で開催される。東洋大の学生として出場することにこだわりを持っていました。だから、延期は残念でくやしかった。最初はショックもありましたが、酒井瑞穂コーチから『1年延びたことでさらに進化できる』と言われたことで、何ごともポジティブに考え、頑張ろうと気持ちを切り替えました」(『大学とオリンピック』中公新書ラクレ 20年)。

 同じく6位は法政大14人。2009年に設置したスポーツ健康学部から、金井大旺、坂東悠汰(陸上)、上田綺世(サッカー)、柳澤明希(アーティスティックスイミング)、高橋侑子(トライアスロン)を送り出した。黒川和樹(陸上)は現代福祉学部2年である。

 敷根崇裕と吉田健人(フェンシング)はいずれも東亜学園高校出身。敷根は世界選手権の銅メダリストゆえ東京2020大会でも金メダルに期待がかかる。

 森脇唯人(ボクシング)は地元愛が強い。

「日本代表としてはもちろんですけど、自分は『足立区代表』として、区民の皆さんに勇気を与えられたらと思っています。(中略)お世話になった方々に、結果で恩返しをしたいです。速いテンポで鋭いパンチを打てることが自分の武器なので、ぜひ試合を見てほしい」(東京都足立区ウェブサイト2021年7月8日)。