たとえば、2016年11月の選挙でマルコ・ルビオ上院議員はNRAから300万ドル(約3億3000万円)の献金を、また共和党の重鎮だった故ジョン・マケイン上院議員(2018年に死去)は生涯のキャリアのなかで770万ドル(8億5000万円)を受け取っていたという。

 さらにトランプ前大統領も2016年の大統領選で、NRAから2100万ドル(約23億1000万円)相当の献金を受け取っていたことがわかっている。

 NRAは共和党議員と密接に結びつく一方、銃規制法の制定に積極的な民主党の有力議員を名指しで批判し、選挙で落選させるためにネガティブ・キャンペーンを大々的に展開している。

 このようにしてNRAはこれまで多くの銃規制法案をつぶしてきたが、ここ数年は幹部による寄付金の私的流用容疑などを理由にニューヨーク州の司法当局から訴訟を起こされたりして、影響力の低下が指摘されている。

 しかし、銃問題の専門家は、NRAが弱体化しても銃規制に反対する共和党の基本方針は変わらないだろうと推測する。なぜなら共和党は保守派の支持を得るためにNRAの考えを引き継ぎ、それを党の綱領にしようとしているからだという。

 バイデン大統領はコロラド州のスーパーの銃乱射事件の後、ホワイトハウスで「将来、命を救うことにつながる常識的な措置を講じるために、1時間どころか1分も待つ必要はない」と述べ、議会に銃規制を強化するための行動を求めた。しかし、大統領の願いは共和党の上院議員にはまったく届いていない。

(ジャーナリスト 矢部 武)