韓国で120万部のミリオンセラーとなった話題書がある。『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』だ。精神科医である著者が「自尊感情(≒自己肯定感)」の回復法を指南した一冊である。「些細な事を気にしすぎる」「パートナーとの喧嘩が絶えない」「すぐに人と比べて落ち込む」「やる気が出ない」「不安やゆううつ感に悩んでいる」「死にたいと考えてしまう」など、多くの悩みは自尊感情の低下が原因だと本書は伝えている。そして、その回復法を教えてくれる。
本書の日本版が、ついに7月14日に刊行となった。日本でも発売即重版となり、さっそく話題を集めている。今回は、本書の刊行を記念して、その一部を特別に紹介する。

【精神科医が教える】自己肯定感が上がる「決め方」の絶対ルールとは?Photo: Adobe Stock

自尊感情を高める「決定」のルールとは?

 決定権の弱い人はそれだけ存在感がありません。いてもいなくても変わらない存在、すなわち影響力を発揮できない人なので、存在感は弱まるばかりです。

 自らの存在感を感じられないことは、自分の存在意義を失ってしまったようなものです。つまり、存在感を引き上げることは、自尊感情(≒自己肯定感)を回復させることだとも言えます。自尊感情とは、感情的に見ると「自分を愛する心」であり、理性的には「自ら決定し、自分の決定を尊重する能力」なのです。

① 何よりもまず自分で決める

 自分のことは自分で決めてください。当然のことですが、もしできていないなら訓練するしかありません。決定権があるということは、責任と同時に権威も手にします。どのみち自分の人生は自分の責任です。

 人にアドバイスを求めるときも、「最終的には自分で決めますが」という前置きをしてから相談するといいでしょう。大事なのは、自分のことは自分で決めるのだという強い意志です。その気持ちがあれば、他人にゆだねることは減っていきます。

② 自分の決定に従う

 自分の決定に従いましょう。選ばなかったほうの選択肢が心配で怖くなっても大丈夫。別のものを選んでいたとしても、結果は似たり寄ったりです。つまり、選択肢があるというのは、どちらも同じ程度の比重であるということです。もし損する結果になったとしても心配は無用。自分で下した決定なので、良い学びになるはずです。

③ 結果が思わしくなかったら、未来形で後悔する

 結果は良い場合もあれば悪い場合もあります。結果が芳しくなければ後悔してもかまいません。結果の責任や苦しみを丸ごと自分で負うのです。ただし、後悔するときは未来形で後悔してください。「あのとき、ああすべきじゃなかった」という過去形の後悔は自尊感情を害します。「この先、似たようなことがあったら、必ずこうしよう!」という未来形の後悔をすべきです。この後悔自体、1つの決心でもあります。

④ 結果が良かったら他人に感謝する

 結果が良かったら喜んでください。その喜びを丸ごとあなたが享受してください。自分が決めた決定が、自分を成功に導いたのです。あなたの選択が正しかったことをまわりも知っています。ゆえに感謝の喜びを他人ともシェアしましょう。「あなたのアドバイスのおかげで成功できた」と話しましょう。それを聞いた人もやはり気分が良くなり、引き続きあなたを応援してくれます。

(本原稿は、ユン・ホンギュン著、岡崎暢子訳『どうかご自愛ください』からの抜粋です)

ユン・ホンギュン
自尊感情専門家、ユン・ホンギュン精神健康医学科医院院長
中央大学校医科大学を卒業し、同大学医科大学院で博士課程を修了。京郷新聞、韓国日報、月刊生老病死などへの寄稿のほか、FMラジオ交通放送「耳で聞く処方箋」などの相談医としても活躍。韓国依存精神医学会、韓国賭博問題管理センター、中央大学ゲーム過没入センター、性依存心理治療協会、校内暴力防止のための100人の精神科医師会などで活動。主に関心を寄せている分野は「自尊感情」と「依存」。初の著書『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』が韓国で120万部のミリオンセラーに。