中国株が大幅下落!経済を「窒息」させかねない習近平の企業締め付け強化Photo:123RF

7月、上海総合指数は月間で5.4%下落した。また、「ナスダック・ゴールデン・ドラゴン・チャイナ・インデックス」(米国上場の中国大手98銘柄からなる株式指数)は22%下落した。背景には、共産党政権による大手企業への締め付け強化がある。習政権はインフラ投資などで景気を支えつつ、資本の論理よりも、党の指揮による経済運営を目指す可能性が高い。中長期的に中国経済が人々の自由への渇望を抑えつつ、一党独裁の下で成長できるかは不透明だ。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

配車アプリの中国・滴滴出行
NY市場にIPO後、株価暴落

 7月、中国本土の主要株式インデックスである上海総合指数は月間で5.4%下落した。また、「ナスダック・ゴールデン・ドラゴン・チャイナ・インデックス」(米国上場の中国大手98銘柄からなる株式指数)は22%下落した。背景には、中国共産党政権による大手企業への締め付け強化がある。

 その一例に、配車アプリ大手の滴滴出行(ディディチューシン)がある。6月30日の米ニューヨーク証券取引所への新規株式公開(IPO)後、同社株は一時40%超下落した。上場直前に中国当局はディディに延期を提案したとみられる。それでも、同社はIPOを実施した。

 それが示唆するのは、米国上場は中国企業がさらなる成長を目指す重要な手段であることだ。他方で、中国共産党政権は安全保障にかかわるビッグデータの海外流出を阻止したい。

 今後の展開を考えた時、習政権はインフラ投資の実施などによって景気を支えつつ、資本の論理よりも、党の指揮による経済運営を目指す可能性が高い。機動的かつ積極的なインフラ投資などは、短期的には中国の景気を下支えするだろう。ただし、中長期的に中国経済が人々の自由への渇望を抑えつつ、一党独裁の下で成長を目指すことができるかは不透明だ。