中国でアイスクリーム市場がかつてないほど盛り上がりを見せている。特に売れているのが各地の観光名所や博物館などとのコラボアイスや、国産メーカーによる高級路線のアイスなど、数年前には全く存在しなかったアイスだ。なぜ、中国人の間で急速にアイス人気が高まっているのか?(ジャーナリスト 中島 恵)
中国でアイス人気が急上昇
観光地コラボ、高級アイスも
「わ~!黄鶴楼アイス!かわいい!食べてみたい!」
中国の友人がSNSにこう書き込んでいるのを見つけた。友人が取り上げていたのは、湖北省武漢市にある有名な観光名所「黄鶴楼」の形をそのまま形どって、小さな模型のような形にした棒状のアイスクリーム(アイスバー)だ。友人によると、今年4月に武漢市内のスーパーで発売されたばかりの新商品で、発売初日の朝から午後2時までに約3000個が売り切れて話題になったという。
ほかにも、中国のSNSでは、これまで見たことがなかった観光名所とのコラボアイスが次々と発売されている。北京の故宮博物院にある石の獅子を形どったアイス、北京の円明園(清朝時代に建設された庭園)の蓮の花を形どったアイス、西安の世界遺産、兵馬俑(古代中国で死者を埋葬する際に副葬された人形)を形どったアイス……などがそれだ。
価格は1個15~20元(約255~約340円)ほどで、スーパーで売られている一般の棒アイス(約3~8元〈約51~約136円〉)の5倍以上もするが、形状の精巧さやかわいらしさ、斬新さがウケて、中国語で「顔値高=顔値が高い」(インスタ映えする)と人気に火がついている。