「専精特新」という優れた中小企業を支援する

 今回の政治局会議では「専精特新の中小企業の発展」という文言が登場した。

 「専精特新」はあまりピンとこない言葉だが、「専門化・精密化・特徴化・斬新化」という4つの優れた特徴を持つ企業のことだ。

 コロナ禍で、中国政府は中小企業の支援を続けているが、「専精特新」中小企業の育成に向けた取り組みも加速している。例えば、工業・情報化部は「小巨人企業(専精特新の中小企業の中でも特に優れた企業)リスト」掲載の1584社を発表し、今後これらの企業を育成していく姿勢を示した。

 また、財政部と工業・情報化部は今年2月に通達を出し、2021年から2025年までの間、中央財政は100億元以上の奨励金・補助金を計上し、1000社余りの国家レベルの専精特新「小巨人企業」を3陣に分けて重点的に支援し、1万社前後の中小企業が国家レベルの専精特新「小巨人企業」に成長するようにすると言明した(参照)。

 中国政府の指導者も公の場で「専精特新」中小企業問題について言及している。

 劉鶴・国務院副総理は7月27日、全国「専精特新」中小企業サミットフォーラムの挨拶で次のように述べている(参照)。

 「中小企業が良くなれば、中国経済も良くなる。活力に満ちた中小企業、多様性があり、差別化された経済環境は、わが国経済の強靭性の最も重要な保障だ。『専精特新』の魂はイノベーションだ。現在、科学技術イノベーションは発展の問題であり、さらには生存の問題である。われわれが『専精特新』を強調するのは、イノベーションを奨励し、専門化・精密化・特色化を図ることである。企業家のみなさんには、『専精特新』を方向として、本業に焦点を当てて技を磨き、イノベーションを強化し、企業を独創的な特技を身につけている『シングルスチャンピオン』か『フルセットの専門家』になってもらいたい」

 このような動きから、中国は「隠れたチャンピオン企業」が多いドイツの「科学技術強国」「製造強国」の道を参考にしている、という記事がネット上に発表された。

 「隠れたチャンピオン企業」とは、ドイツの経営学者ハーマン・サイモンが最初に提唱した言葉で、ある分野で知名度はさほど高くないが、優れた実績や高いシェアを誇り、他企業に自社の製品やサービスを簡単にまねされたりしない中小企業のことだ。

 今回の、中小企業の「専精特新」に向けた戦略は、「隠れたチャンピオン」になるための戦略にもみえる。