こんなこともありました。開業から3年目、2000年から2001年に切り替わる大晦日の夜でした。年末年始に何かイベントができないか、と私は考えていました。そこで、北京の市民はどんな消費行動をとるのか、イトーヨーカ堂の閉店時間は何時にするべきか、中国人と日本人の幹部全員で議論をしたのです。
中国人の幹部は、さまざまなデータを揃えて、会議に出席していました。中国人の年末というのは、日本で言うところの紅白歌合戦をテレビで見て、日本の年越し蕎麦にあたる餃子を食べて、白酒を飲み、マージャンやカラオケをして楽しむのが一般的だ。各百貨店の閉店時間も調査すると、大晦日は5時閉店、6時閉店がほとんどで、それ以上延長する店舗はない。だから、6時閉店にすべきである。そんな結論でした。
中国人全員が不満そうなアイデアにも恐れずトライ
いろいろな議論が百出しました。すべての意見が出尽くしたとき、私は議長としてひとつ提案をしました。「夜中の2時まで営業を延長してみたい」と。
中国人は不満そうでした。「夜中の2時?バカじゃないか」「必ず失敗する」「お客さまなんてひとりも来ない」……と、全員が思っていたのではないかと思います。
私は言いました。やってみなければ、誰にもわからない。7時に閉店してしまったら、8時、9時にどのくらいのお客さまが来店されるのか、誰にもわからない。このまま何も行動しないで閉店時間を6時、7時にするなど許されない。催事やイベントを強化して打って出るべきだ、と。
そこで打ち出したのが、これでした。
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迎えた当日。19時から20時頃にかけて、一斉に客足がダウンしました。中国人たちは口々に言いました。「やっぱりお客さまは来ないでしょう」「だから最初から無理だと思っていたのに」……。実は私は内心、「しまった」と思っていたのでした。