ところが21時を過ぎると、変化が現れました。お客さまが次々に来店されたのです。一斉に引いたのは、夕食のために戻られたのかもしれない。そして23時頃には、売り場は超満員に膨れ上がっていました。休日の比ではありません。全館のエスカレーターは、危険なので停止させました。それでもお客さまの勢いは衰えません。

人心を惑わした騒乱罪を問われ逮捕寸前!?

 23時40分頃、地元の警察の署長、副署長がやってきました。私を事務所から引っ張り出し、1階保安室に連行したのです。保安室には、全館のモニターテレビが設置されていました。その机の前に座らされて、両隣に署長と副署長が座りました。そして、署長がこう言ったのです。

「もし、万が一中国人をケガさせたら、即、お前を逮捕する」

「何の罪ですか?」と小声で私は返しました。

「騒乱罪に決まっているだろう」と怒鳴り返されました。

 さらに「お前はこんなチラシを作って客集めをした。何もやらなかったら北京市民は静かに家でテレビを見たり、マージャンをして平穏に暮らしていた。シャンパン無料プレゼントなど、人心を惑わすような行為をしたことは許されない」と怒り出します。

 私の座っている前の机の上には、手錠が「ドン」と置かれました。

(お客さま、ケガをしないうちに早く家に帰って寝てちょうだい!)……私は真剣にそう思っていました。

 そしてカウントダウンがスタート。大盛り上がりで、幸いケガ人はありませんでした。それでも館内は、押すな押すなの大盛況で、まったく歩けません。人の頭が、右へ左へ波のように揺れ動いている状況でした。

 この日、閉店できたのは、なんと午前3時30分頃になってから。それから新年の飾り付けをして、8時にまた店を開けました。午前2時までの営業は、中国人の反対にもかかわらず、大成功に終わったのです。やってみなければわからない。まさにそうだったのでした。