この話には、後日談があります。北京市政府は、経済を活性化させるための消費拡大を図ろうとしていました。個人の持っているお金を、いかに環流させるか、です。日本のGDPに占める個人消費の割合は6割程度ですが、中国では4割程度。この数字をどう高めていくか、いかに個人のお金を消費に回し、経済を成長させるか、奮闘していたのです。

 イトーヨーカ堂が2時まで営業して成功したことを知ると、びっくりするようなお触れが出ました。翌年6月のことです。「北京市内の繁華街は、大晦日は深夜12時まで営業すること」と法律で決めたのです。大晦日の夜中に店が開いていれば、北京市民は出掛けることに気がついた、ということです。

 法律化には驚きましたが、この対応の早さがまた、中国のいいところだと思いました。

常に前へ前へ歩み続ける意思を持てるか

 まず「中国に染まれ」は必要です。中国に謙虚に学ぶ。しかし、そこで立ち止まったら、安住や妥協でしかなくなるのです。「これが中国では常識です」「一般的です」と鵜呑みにしたら、ビジネスチャンスは訪れない。

 チャンスは自ら開拓しなければならないのです。必要なのは、常に前へ前へと歩み続ける意志です。それがなければ、現状維持にしかならない。現状を打破しようとする中に、新しい進歩や変革、改革が生まれるのです。中国に謙虚に学び、理解をしながらも、それを鵜呑みにすることなく、検証に挑む。その姿勢が、中国では必要なのです。

 それこそが「ただし、(中国に)染まりすぎるな!」です。中国も、ビジネスも、常に動き続けています。中国についても、ビジネスについても、十分にわかり納得できる日は未来永劫やってきません。まさに、染まりすぎたら、新しいものは生まれません。常に挑戦し続ける姿勢を持ち続けることです。

(次回は11月22日更新予定です。)


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