長引くコロナ禍で先行きが見通せず、誰もが前向きな未来像を描きあぐねている今、SFが革新的な未来創造のツールとして注目されている。現在と非連続な未来を構想し、現実を変えていくためには、SFをどう活用すべきか。三菱総合研究所と筑波大学の共同研究から生まれた「SF思考」の特徴と、ビジネスへの応用法を説く『SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル』の編著者・関根秀真氏と、監修者・大澤博隆氏が、ビジネスサイド、アカデミアサイド、それぞれの立場からSF思考の意義と可能性を語る。(構成/フリーライター 小林直美、ダイヤモンド社 音なぎ省一郎)

未来研究のミッシングリンク

関根 今、SFとビジネス、あるいはSFと社会を関係付けた本が立て続けに出版されています。中でも『SF思考』は、企業で、学校で、あるいは個人でも、すぐ実践できるワークショップの方法を具体的に示したところに特色があると思っています。

大澤 HOWがしっかり示されているのがいいですね。SFとビジネスという組み合わせに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、SFは現実の前提がひっくり返された社会で何が起きるかが描かれることが多いジャンルです。そもそもイノベーティブな未来を考える活動と親和性が高いんですよね。

関根 本の中で、シナリオプランニングやデザインシンキングとSF思考との違いについても言及しましたが(図表)、SF思考が担う部分、つまり「人を起点に、不確実な可能性を重視して未来を描く」という象限は、これからのビジネスにおいて非常に重要だと考えています。特に、企業のパーパスやビジョンを策定したり、新事業でブルーオーシャンを探索したりする場面で有用だと考えています。SF思考とそれに基づいた未来ストーリーづくりのワークショップは、これから企業へのコンサルティングツールとして積極的に広げていきたいと思っています。

大澤 この本をきっかけに、ビジネスシーンにおけるSF思考の実践事例が多数蓄積されていくことになると思います。私も編集に関わった研究者として、価値創出手法としての有用性の研究を進め、具体的なエビデンスを示していきたいと考えています。

ビジネスの望む未来を「SF思考」で引き寄せる