アマゾンのマーケットプレイスでは、グレーな裏技を使って自らの商売を有利に進めようとする出品者と、対価を得てそれに加担するレビューアーたちがいる。フェイクレビューやステマレビューの仕組みを徹底取材すると、中国の業者と「情報弱者」の親密な関係が見えた。
※本稿は、横田増生著『潜入ルポamazon帝国』(小学館)の一部を再編集したものです。
良心の呵責はない
屁理屈のオンパレード
アマゾンのフェイクレビューに加担している人たちに共通するのは、その罪悪感の薄さである。
約半年間、アマゾンでフェイクレビューを書いてきたという首都圏在住の青木琢磨(34)=仮名は、こう開き直る。
「アマゾンの規約に違反していても、ばれなかった問題は存在しないと思っています。良心の呵責(かしゃく)はないですね。これも、需要と供給があって成り立つことですから」
――需要と供給とは?
「ステマレビューを書いてタダで商品がほしい人と、それを書いてほしい出品者がいてはじめて成り立つということです」
――あなたの書いたフェイクレビューが利用者を惑わせることに罪悪感はないのか。
「フェイクレビューが本当に問題なら、アマゾンがそれを排除する仕組みを作らなければならないと思います。フェイクレビューに騙される消費者にも幾分かの非があるんじゃないでしょうか。詐欺商品であっても、買った方が100%被害者だとは僕は思っていません。買ったのは自分自身ですから、自己責任の部分もあります。それに、アマゾンは購入から1カ月は返品できるのですから、騙されたと思ったら、返品すればいいだけです」
と、果てることなき屁理屈のオンパレードである。
日本国内の法律から見ると、どのような問題があるのだろうか。フェイクレビューの問題に詳しい弁護士の川村哲二はこう語る。
「ステマレビューは、一般の消費者をだますことにもつながり、詐欺に近い行為だと思っています」としたうえで、アマゾンが日本で採りうる法的手段には、2つの選択肢があるとする。
1つは、ステマレビューを募っている出品者を対象としたもの。もう1つは、ステマレビューを書いているレビューアーを対象にしたものだ。