アマゾンPhoto:123RF

アマゾンジャパンの2020年の売上高が2兆1848億円(前年度比25.2%増)となり、初めて2兆円を突破した。国内の小売業者では、イオン、セブン&アイ・ホールディングスに次ぐ3位に浮上し、「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングを抜いた。通販のバックヤードである物流センターの数も、その床面積も年々、大きくなっている。国内最大級の小田原物流センターに「潜入取材の達人」が突撃し、驚きの実態を明らかにする。
※本稿は、横田増生著『潜入ルポamazon帝国』(小学館)の一部を再編集したものです。

巨象に立ち向かう「アリ」が
「誰でも合格する面接」を受けるまで

「とてつもなく大きくなったなぁ……」と気圧されるような思いに陥ったのは、2017年10月14日のことである。

 私がアマゾンの物流センター内部に足を踏み入れるのは15年ぶり。

 再度潜入した先は日本で一番大きな小田原(神奈川県)の物流センターだった。そこでピッキング作業を開始したときの第一印象である。ピッキングとは、顧客が注文した商品を指示に従ってセンターの中から探してくる作業のこと。前回の潜入でも同じピッキング作業が割り当てられた。

 私が私服の上に身に着けているのは、前後に名前が入ったブルーの襷。その襷の上に掛ける新人であることを示す赤いリボン。支給されたゴム手袋。首から、名前と写真入りの入館証をかけるというスタイルだ。この姿でカートを押しながら、一日中商品を探して回る。

 今回潜入した小田原の物流センターは、13年稼働した。規模は5階建てで延べ床面積は約20万平方メートル。アマゾンは、小田原センターの広さを「東京ドーム約4個分」と表現している。

 加えて、小田原以外にも10カ所以上の物流センターが日本中で稼働している。現在、すべてのアマゾンの物流センターの延べ床面積を合計すると、70万平方メートルを超え、ネット通販事業者としては最大だ。

 ネットの求人情報を探して小田原の物流センターのアルバイトに申し込んだのは、10月上旬のこと。